意外に高い高卒の就職率
大学全入時代である現代においては、高等学校卒業者のうち約半数は4年制大学に進学するようになっています。
さらに20%程度は専門学校へ進学し他にも短大などほとんどが進学を希望するとされており、高校卒業をしたあとに就職を希望するという人の割合は、高校生全体をみても決して多いものではありません。
ですが、高校卒業後に就職を希望する人のうち実際に就職をすることができた人の割合となる就職率は大変高いものであり、社会全体からは高卒の人材に対しての需要は決して低いものではないことがわかっています。
具体的な数字を出せば、文部科学省の公式発表によると平成26年度における高等学校卒業者の就職率は全体で96.6%、男女別に見ても男子が97.5%、女子が95.1%となっています。
都道府県別に見ると就職率が最も高いのは福井県の99.8%を筆頭に、石川県や富山県、新潟県、山形県といった北陸~東北の地域が高い数値を維持していることがわかっています。
高卒での主な就職先
高卒として新卒で仕事に就く場合には、従事する仕事の多くは本人の技術に大きく関わる第二次産業が多くなっていることが特徴です。
最も就職率が高い高等学校の学科としては「工業(98.8%)」となっており、次いで「福祉」「水産」「看護」といったものが続きます。
同じ高等学校であっても普通科の就職率は最も低く94.2%となっており、より実際の仕事に技術が直結する高校課程の方が就職には向いているということでしょう。
また高卒の就職率を大きく底上げしている要因の1つが、地域にあるハローワークが高校生に直接就職指導をするなど、その地域での求人と職業訓練をする高等学校とが一体的に活動をしているという点です。
しかし地域一体型の就職活動は同時にその地域の産業構造やハローワークの役割による格差を生むことにもなっており、反対に高卒での就職率が低い県においては高卒で就職をしようとしてもなかなか希望の就職先を見つけることができず、単純労働者として不安な雇用状況になってしまうということもあるようです。
他にも専門職である税理士や会計士の事務員として働くこともできます。
一見、専門職は難しいと考えがちですが、未経験でも応募ができることもあり採用され働きながら仕事を覚えることも可能となっているので、気になる人は税理士の求人・転職サイトを確認してみましょう。
問題は離職率の高さ
今や大卒での新卒就職希望者に比べてかなり優秀な数字を出している高卒進学ですが、問題が全くないというわけではありません。
中でも近年大変問題視されているのが、高校卒業後の就職者の離職率です。
高卒で就職をした人のうち、就職後1年以内に辞める人の数は4人に1人となっており、これが3年以内となると約半数が離職をしているという結果が出ています。
また少子化の影響もあって高卒の新期就職者の数が全体的に減少してきたことで、求人数も減少傾向にあるということも今後に不安を残す要因となっています。
求人の内容も事務員や販売員といった仕事よりも、技能工が増加してきているということもあり高卒で就職できる職種の先細りも心配されているところです。