日本の基幹産業にも携わる技術が習得できる
専門学校の中でも、特に人数が多いことで知られているのが機械や電気、化学などを学ぶことができる工業系の専門学校です。
日本は戦後から急激な経済成長をする高度成長期を経験してきたという歴史がありますが、その時に基幹産業として多いに国内の産業を発展させたのが自動車やバイクなどを制作する工業系の技術でした。
現在は自動車の組み立てなどの全てや一部を海外工場に移転するというような動きも活発になってしまいましたが、それでも自動車や飛行機といった精密な内容と正確な動きが要求される重要な部品の多くはいまだ日本国内にある中小企業が制作しているという実態があります。
自動車産業に限っても、それ1台を制作するために国内数千社が何らかの形で携わっているというデータもあるほどで、機械工業に関する技術や知識は今後もなくなることなく高い需要を持っていくことが予想されます。
工業系の技術を学べる「高専」とは
機械や電気工業を学ぶことができる専門学校としては、一般の情報系の専門学校の他、国公立として運営されている「高等専門学校」という高校と専門学校が一体になった組織があります。
高等専門学校、通称「高専」は全国各地にありますが、数としては各都道府県に1校あればよいほどの数なので出身地によってはそもそもその存在を知らなかったという人もいるでしょう。
ですが、高専は工業高校と異なりより高度な技術を修得するための高校課程と工業専門学校課程を一緒にした教育機関であり、その卒業生はかなり専門的な工業技術を備えた優秀な人材となっています。
なお高専は工業系が全てではないのですが、実際にはそのほとんどが工業に特化した課程としていることから高専=工業系の高度専門高校という認識でもほぼ間違いはありません。
高専は一般の高校と違って在学期間が5年と長いため、普通高校卒業後に通常の専門学校2年を通ったのと同じくらいと考えてもよいでしょう。
今後はロボット産業従事者が増加する
高専は高度成長期の頃には、工業系のエリートを養成するための機関として広く使われましたが、現在では大学進学率が上昇したことなどにより、以前のような存在感はなくなってきています。
ですが、既に成熟分野となった自動車に代わり今後はロボットを作るための技術者の養成が急務となっていることもあり、大学の工学部を出るよりも早くに必要な知識・技術を習得できる高専の役割は高まっていくことでしょう。
もちろん、それは高専のみならず一般の工業系専門学校においても同じです。